西明石と明石の進学塾
          『BCアカデミー』
Home > 塾長コラム > 2020 久しぶりの中学受験者を迎えて

2020 久しぶりの中学受験者を迎えて

8か月間の無謀な戦い(前編)

公立中学・公立高校への進学を目指した生徒が多く通う当塾で、久しぶりに中学受験を考えているという生徒がいました。

私学受験をしたいと相談があったのが小学6年の5月。
(遅いでしょ。せめて半年は…。)

私学受験を体験したご家庭の方なら誰でもご存知だと思いますが、中学受験するには遅すぎるスタートなんです。
中学受験をする生徒のほとんどが私学受験専門の塾に小4、遅くても小5から通います。
小学校で学ぶレベルを超えた内容の勉強を始め、小6の一年間は塾と家庭学習の繰り返しで入試問題レベルの応用問題・発展問題に挑戦する日々となるのが一般的なのですが、S君は「学校で仲の良い友達のほとんどが中学受験をするって言うてるから、僕も受けてみたい」という安易な理由での受験希望でした。

1月の受験までに残された時間は約8カ月。(きついなぁ。)

私学受験専門の塾に通うには遅すぎるけど、入学テストを受け、ある程度の点数が取れれば入学はさせてくれます。
(商売ですから、特に大手の塾などは…。ずいぶんと昔の記憶が思い起こされます)

正直なところ、中学受験専門塾側から見れば、

     「中学受験のための授業への参加が遅すぎる」

         そんな状況だから「まぁ結果が出なくても仕方ない」

           でも「高額の授業料を払ってくれる良いお客様。」ですから。

お母様も同様の考え方でした。
「今から受験専門の塾に行っても、責任を背負わされて、あちらにも迷惑になる」と考えられたそうです。

どこか別の塾で中学受験の準備を少しでもしていたという話なら別ですが、地元の公立中に進学するものだと思っていたS君のご家庭では小6の4月まで学校の授業と宿題、家庭学習用の市販のドリルくらいしかしていない状態。

そんな状態の生徒を「必ず、志望校に合格させます」なんて怖くて言えるはずがありません。(何とか頑張ってみますが…という感じでした。正直)

保護者の方も「中学受験に関しては本人がやってみたいというのであれば、反対はしないし、応援する。でも受験する中学のレベルに関しては一言ある」ということでした。
(その通り!どこでもって訳にはいかないよねぇ。公立で頑張る方がマシってとこもある!)

生徒本人に向いている学校をいくつか提案し、これから8カ月で中学受験の勉強をしてきた受験生と戦えるレベルまで引き上げられる可能性を考え、話し合った結果、姫路にある男子校を志望校に決めました。

 

まず私がしたことは、

  • 中学受験用の教材を揃えること。
  • 志望校の過去問を手に入れること。
  • 生徒本人の学力を把握すること。

小4から小6までの算国理の教材12点をまとめて購入。教材の積み上げた高さだけ、しなければならないことが多くあることを実感。(実際に残された時間と問題量に焦ったぁ)

  • 過去問はどのレベルの問題が出されているかの確認。過去問に本格的に取り組むのは12月頃になれば御の字だと計算しました。
  • これまでの理解度、受験で扱われる問題を考えた結果、算数は小4のテキストを一部抜粋したものの小5上巻から。理科は小4上巻で国語は小5上巻からスタートすることに

 

中学受験を考えているご家庭の皆様に一言。

「小4から、もしくは小5から中学受験塾へ通わせたら大丈夫?」ではないですよ。中学受験の準備は、算数・理科は特に小学校の勉強で理解不足がないことが大前提です。

中学受験では小学校の内容は基礎・基本ですから。受験専門塾に入学してから小学校の理解不足を埋めてもらおうという考えでは、塾に通う子供たちが「しんどい」思いをします。

塾でも振り返り学習はしますが「もちろん分かっているよね」って確認の意味でするだけで、実際の授業ではその内容を使った応用問題にすぐに入っていきますから。

 

S君には、これから学校で習う小6の範囲は、自分で夏休み明けまでに進めてもらうことにしました。こちらで学校準拠用教材を用意し、一人で進めてもらいました。とはいえ、何か所か理解不足に陥るポイントがあるので、その辺りは受験用の勉強を進めながらも時折チェックは入れてました。

                                   [続く]

8か月間の無謀な戦い(中編)

どの辺りから振り返ってすべきなのか。(ここが一番、頭を悩ませました)

 

算数の受験用テキストは小6上巻の半ばから難易度が上がり、理解するのに時間がかかるので、小4の抜粋した範囲と小5の上下巻を8月末までに仕上げることを目標に設定しました。

理科に関しては小4・5の上下巻を8月末までにやり直すことにしました。

国語は漢字やことわざ、慣用句などの暗記しておく範囲は別として、読解力を磨く必要があるので、小4の上下巻をじっくりと仕上げました。

各テキスト200ページ近くあるので、約4カ月で全ページするのは時間的にも無駄が多いと判断し、志望校で出題されないレベルの問題は完全に無視することにしました。

(受験校が決まっていると思い切ったことが出来る!)

 

これはあくまで予定。

残り8か月で何とか中学受験レベルまで届くように考えたプランの話。

実際はいろいろ大変でした。

算数と理科は教科書範囲の内容は改めて説明する必要がないレベルだったのですが、国語が驚愕の読解力でした。説明文は解けたり、解けなかったりで。

(まぁまぁまぁ、あるよなぁって空気)

それよりも壊滅的だったのが物語文。(普通は理解しやすいはずなのに…)

どこから、そんな答えが導けたんだろう?ってことが11月くらいまで続きました。

それと漢字。本来、得点源にならなければならない漢字が覚えられていない…(マジか)

漢字は最後まで苦労しました。

過去問・模試で正解率が7割あれば、御の字という気持ちで準備しました。

 

S君の受験が大変なのは残り時間の短さだけではありません。

土日祝日は低学年から続けている運動の習い事。平日も英会話などの習い事があり、受験勉強一本に絞っている訳ではなかったのです。

 

S君の家庭では、一度やると決めた習い事は、興味が他に移ったからといって中途半端に投げ出すことは禁止というルールがあったので、入試の直前の週と模擬試験が重なった一日以外は休まず続けていました。普通、日曜に実施される模擬試験に参加した時は、遅れて練習や試合に参加していました。

 

そんな状況での中学受験。

8月末に設定した中学入試用に知識を増やす目論見は、残念ながら理科のみが何とか達成出来ただけで、算数は9月半ば、国語は9月末までずれ込みました。(冷や汗ものでした)

 

いよいよ小6の教材を使い始めることになりましたが、難易度もグンと上がったようで進み方もスピードダウン。特に算数でその傾向が顕著に。

 

理科は小6の上巻まではスムーズに進み、天体や化学分野の一部に手間取ったかな。

国語は小6のテキストまで進みませんでした。S君の読解力を知った時点で小6の問題集まで進むことは、あきらめていました。

小5までの文章を使って読解力を強化する方が良いと判断していたので、国語は一問一問に時間を掛けて、解くポイントを掴むことに重点を置いた勉強をしました。

 

もちろん模擬試験にも参戦。

最初に受けたのが6月頃だったかな。あくまで現状確認のため。

この時の成績は、志望校のボーダーラインにも届かないレベル。(届いている方がおかしい。何にもしていなかったのに…)

でも頑張れば、何とかなるかもって思える成績でした。(そんなに甘くないよ~)

ここから模試の成績が落ちることを知りながら、学力がどこまで伸びるか、同時に模試の結果がどこまで落ちるかという期待と不安が入り混じった時期でした。

                                   
                         [続く]

8か月間の無謀な戦い (後編)

小6の内容に進むのが遅れただけでなく、内容がグッと難しなり、こちらが考えていた進度が保てなくなりました。

何となくの理解で進むよりは、しっかり理解して進まないと、後々入試問題に取り組む時期に困ることになるので、予定通り進まない焦りはあるけども、その焦りが生徒に伝わってしまってはマイナスに作用するので、そこは気を使いました。

 

10月に入り、再び模擬試験に挑戦。S君自身はかなり頑張っていたので前回の成績をどれくらい上回るだろうかと期待していたようです。(そんなに甘くないよ…)

模試を受けた後の彼は、落ち込んでいました。難しかったようです。

 

このタイミングで本人としっかり話しました。

「8か月間で受験することを決めたけど、中学受験組から見たら無謀な戦いを挑んでる状態で。無理やり、ここまで詰め込んできた訳。S君は6年の5月から勉強を始めた。それまでは学校の勉強しかしていなくて、この5カ月は勉強漬けの毎日。

こんなに頑張ってるんだから成績は上がって当然と思うでしょ?

でも受験組はもっと勉強しているねん。S君の仲の良い友達は小4から週2・3回の塾通いしていて、小6の秋からは土曜・日曜の特別講座も取っているんでしょ?

他のライバルも頑張ってるねん。わかるかな?

さらに小6の受験テキストに入ってから内容が難しくなって、なかなか進まないやろ?

この時期からの模試は小6の範囲まで入って、難易度もアップする。だから6月に受けた模試のような結果が出るはずがない。

模試は12月までに何回か受けてもらうけど、ギリギリのタイミングで合格ラインに近づけば良いと思っている。1回でも合格ラインに達することで十分。2回も合格ラインに達したら受験校ランクを上げても良いくらい。

模試を受験する生徒の中には最難関中学を受験する生徒も対象だから。

ここまでの話は理解できた?」

S君本人は

「6年の内容を今からするって状態じゃあ間に合わないかも。合格は無理なんじゃ…。」

「だから、逆転ホームランを目指して、今からの進め方を話すね。

S君はここから捨て問を作って勉強を始めます。

捨て問とは志望校で出題の可能性の少ない問題や出題はされるけど理解するのに時間がかかる問題は勉強しないことにする。そんな問題は捨てます。

ただし解き方、考え方は簡単に解説はする。でも出来なくてOK。もし合格した時、出来る出来ないは別にして、何となく知ってるが大事だから。考え方は触れます。でも触れる程度で良い。

はっきり言って、合格最低点を2・3点超えたら十分と考えて、志望校対策を立てることにする。」という話をしました。

 

そこからの受験用教材の進み方は順調でした。

最初から100点中30点ちょっとを捨てる勉強方法だったので、受験生が苦しみ、受験をあきらめそうになる問題を無視して進めるのだから。

この勉強法は早々に受験校が確定していたので、僕も対策がたてやすかった。

一応、およそ10年分近くの過去問を手に入れ、算数・理科をどのレベルまで手を付ければ良いかの研究をしました。

 

11月から週1のペースで過去問に取り組み始め、12月には狙った問題でミスがなければ55点前後は取れるようになりました。

あと約10点の上積みは十分に狙える状態になりました。

 

ただ誤算が一つありました。

それは国語の漢字や語句の意味といった普段の学校の勉強でカバーできる内容がイマイチだったこと。国語は文章読解に力を入れ、完解は難しいので、10点中6点が取れたら良しとする部分点狙いで進めていたので、模試でも過去問でも漢字の書き取りが半分も合わないのは完全に誤算でした。

12月から慌てて膨大な量の漢字を詰め込んでも無理なので、過去問から出たことのある漢字を約400語、正解率90%を目指し、反復練習。

1月に入ると同レベルの学校の過去問から追加で300語を反復練習しました。

本番では10問中7問を最低限クリア目標としました。

普通、中学受験生にとって漢字などは満点が当然。たった1問の間違えで大騒ぎするのに、3問まで間違えても大丈夫なんて甘いとは思いますが、もともと無謀な戦いを挑んでるのだからその辺りは割り切って受験勉強を進めました。

 

秋から複数回チャレンジした模試は、1回だけ合格ラインを大きく超して、残りは全て合格ラインにも程遠く、判定結果だけを見れば、志望校の再考を促されている状態でした。

S君のお母さんも全く騒がず、「やっぱり難しいですよねぇ。だけど、今の頑張りは公立に進学した時に十分役立つと思うんで、最後まで続けさせたいと思ってます。また思い通りにいかないこともあるって、ショックを受けることも大切だから」と、とても冷静に見守ってくれてました。

 

S君も僕もたった1回でしたが合格ラインを超えたことで「間に合った。何とかなるかも」という思いが出てきてました。

 

志望校に変更はなく、受験できる3日間を全て受験。

 

結果は・・・。

今年度から始まった英検による加点措置がどれだけ有利不利をもたらすかが心配でしたが、その影響が大きかったようです。

中学受験する生徒が英検を取っているかなぁと半信半疑でした。

さすがに6年生の夏以降になると英検受験までする余裕はないみたいですが、加点措置があった4級程度なら4・5年生で取得していたようです。

S君の友達で、S君の志望校より上位校を受験し合格した子でも、英検による加点措置がなく不合格に。同じ上位校を受験し不合格だった子が、加点措置があって合格していたようで合格点ギリギリでの合格を目指したS君には厳しい結果となりました。

彼の悔し涙に「なんとかしてあげたかった」という思いが湧きましたが、「残念だったね」の一言しか出ませんでした。

 

 

しかし、「合格を辞退した生徒がいまして、追加合格となりました」という電話連絡が入り、見事志望校に逆転合格!

事務室の先生からは「追加合格ということは、一番下のレベルで入学するのかと不安に思うかもしれないですけど、心配ないですよ。本来の合格点数より1-2点の差ですしたから。」

と言われたそうです。

S君の喜び期待に満ちあふれた表情を見るとホッと一安心でした。

僕自身、久しぶりの中学受験指導だったので、いろいろと大変でした。

でも合格の報告で全部が報われた気になりました。

お問い合わせ
ブログ更新情報
ブログを見る

QRコード

西明石と明石の進学塾           『BCアカデミー』 モバイル

携帯のバーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、携帯版ホームページへアクセスできます。